二重人格神様~金と碧の王~
けれども、やはり今夜も帰ってくるのが遅い。速い時は速いけれども、遅い時はとても遅いのだ。
大抵遅い時は先に寝てしまうが、今夜だけは待っていたい気分だった。
ベッドの上で数回寝返りを繰り返し、まだかなと思う。
そんな時間を1時間ほど過し、わたしは痺れを切らしベッドから起き上がる。
乱れた髪の毛を直しながら窓に近づき窓枠に腰をかけ月を見上げた。
人間界でみるより、格段に大きな月。けれども、明るさは人間界でみるのと同じくらい。
見慣れたはずなのに、はやりこの月は見るたびに綺麗だなって思うんだよね。
脚をかかえ、小さく疼くまるように身体を丸めると、タイミングよく部屋のドアが静かに開く。
『...あっ」
部屋に響いたその音に振り返ると、そこには愛しい彼の姿。
海鈴さんだ!
白銀色の髪をなびかせ、歩く姿に胸が高鳴った。
やっと、会えた!
窓枠から飛び降り、駆け足で彼に近寄った瞬間、私の脚は思わず近寄るのをやめた。
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