二重人格神様~金と碧の王~



「…あ」



本当に本能的だったと思う。脚を止めその姿を下から上まで舐めまわすように見つめると、彼は目を細め腕を組
む。


「なんだよ」


「あ…い、いえ」


やっぱり…海鈴さんじゃない、グレンさんだ。よく見れば細められた瞳は金色に輝いている。


珍しい。グレンさんが夜に来るなんて。しかも、間違えてしまうなんて…


「あ、あの、その…お帰り、なさい」


差支えない返答だと思う。けれど、見透かしたかのようにグレンさんは組んだ腕を離しそのままベッドに腰を下ろす。



「海鈴じゃなくて、残念だったな」


「え……」


「あからさま」


髪の毛を後ろに振り払い、そのまま羽織を脱ぐ。


そんな、あからさまだった?確かに、少し残念だったけど、そこまでじゃない。



でも、近寄る脚を止めたんだもん…そう思われてもしかたがない、よね。


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