二重人格神様~金と碧の王~
「そうだな。どうやら俺はお前を泣かすのが得意らしい」
「そんなの、得意だなんて、こまきゃっ!」
涙を拭いた手で、私の腕を掴みそのままベッドの中に引きずり込まれる。
身体が正面から密着し、グレンさんの心臓の鼓動がよく聞こえた。
「ぐ、グレンさんっ」
「嫌なら離れればいい」
背中に手が周り、私を包み込むように腕がまわる。その抱き方は海鈴さんと似ていた。
離れればいいとか、そ、そんな、そんな言い方...ズルい。
こんな事されて、嫌じゃない。だから、離れたいなんて思わないよ。
乱暴だし、口も悪い。意地悪で気分屋の王様だけれど、優しい部分に触れてしまった。
グレンさんの熱を感じてしまった。
この胸の高鳴りは、そのせい。何を意味しているかはよくわからない。
でも、この温もりに包まれたいと思う。
目をとじ、彼の温度に身を任せると呟くようにグレンさんが言う。
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