二重人格神様~金と碧の王~



***


「あの、フェイランさん?最近わたしの扱いが荒い気がするんですけど」


「あら、いやだ。気のせいよ」


あの夜から二日後、私はフェイランさんに頼まれて倉庫の整理をおこなっていた。


山積みになった書物を棚に戻す果てしない作業だ。


「いやー。でも、小鳥ちゃんが暇で良かったわ!」



実はこのような事をするきっかけは、私が部屋でボーとしていたからだ。いや、ボーとしていたのではなく、考え事をしていたのだ。





その内容とは、あの二人のこと。



実は二日前のあの日、一緒に眠った朝私が起きるとそこにはグレンさんはいなかった。



身体にはしっかりと毛布が掛かっていて、アレスに問えば「任務に出かけた」とのこと。



少し寂しい気持ちになったもの、夜まで待ったが彼は帰ってこなかった。それは前々からよくあること。会いたいとは思うけれど、我儘は言えない。



それに結局…海鈴さんとはまだ話が出来ていない。



ずっとグレンさんだったし、戻った時は寝ていた。それから二日が経過している。会えるわけがない。


いつ帰ってくるんだろう、とか、会って何を話そうとか、どう顔を合わそうとかを考えている所にフェイランさんが来たのだ。


それで、今に至る。







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