二重人格神様~金と碧の王~


「わ、わかりました」



そう呟き、本棚の隙間を移動する。


もう、やっぱり人使いが荒いんだから。前が見えなくなるほどの量。


自然と視界が奪われ歩く脚も不安定になってしまう。


見えるわずかな視界の中、倉庫のドアを身体で押すように開け、そこからでる。


えっと、執務室って、どっちだったけ…この屋敷は広いからたまに分からなくなるんだよね。



その場で少し考え、右側の階段の方に歩くと、窓からアレスの姿が見えた。部下の神様と何か話しているみたい。



そういえば、今日の朝食の時に二日ほど出かけて留守にするって言ってたけ。


今から、行くのかもしない。


そんな私の視線に気づいたのか、突然アレスが振り向く。頭を下げられ、私は本を窓枠におき手を振る。



アレスも大変だよね。わたしの面倒をみて、部下の教もするなんて。



人間界なら、間違いなく出世するだろうな。なんて、考え再び本を抱えようとすると本の上にある鍵が床に落ちる。





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