二重人格神様~金と碧の王~
「どうしたんだい?随分と、激しい歓迎だね」
「だ、だって…ずっと、会いたかった…からっ」
「うん。僕も、会いたかったよ」
まさか、まさか、こんなタイミングで会えるなんて思ってもいなかった。
顔をあげ、彼を見上げると優しい手付きで涙をぬぐう。
「ごめん。ずっと、出てこれなくて…僕もいのりに会いたかった」
額にキスを落とされ、瞼、頬、首筋にまわり、待ち望んだかのように唇に触れた。
あぁ、やっぱり、海鈴さんとキスは落ち着く。グレンさんとは全然違う。
振れるだけのキスなのに、こんなにも満たされるのは彼だけだ。
唇が離れ、数秒見つめあうと海鈴さんは私の身体をはなし窓枠に置いた本を取る。
「…え?」
「部屋、行こう」
「あ…」
一瞬、厭らしい想像をしてしまった。けれども、伸ばされた腕を拒む理由はない。その手を握り返し、私も本を抱えて歩きだした。
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