二重人格神様~金と碧の王~
執務室ではない。いつもの私達の部屋に入ると海鈴さんは本を乱暴にテーブルに置くと、すぐにを背後から抱きしめた。
「あ」
身体が熱くなり、その腕に触れると海鈴さんも少し熱い気がする。
「海鈴さん?」
触れられるかと思った。けれど、それ以上何かされる訳でもない。しばし沈黙のあと、彼は言う。
「聞いたよ、あのはなし」
「…え?」
「夜会でのこと」
「あ、そう、ですか…」
聞いたんだ。いつの間に…
「あの…」
「守ること、出来なくてごめん」
「そ、そんなことないです」
最終的には助かったんだもん。それで、いいんだ。触れる手を引き離し、振り返って彼の身体に抱き付く。胸元に耳を寄せれば鼓動が聞こえる。
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