二重人格神様~金と碧の王~
「んっ」
もう片方の手は頬を包み、熱く火照るような口づけにかわる。
舌をからませ、吸い取るような仕草に思わず息が止まった。
な、なんか、いつもより激しい…
呼吸するさせない口づけに身体がうずく。このキス…前にグレンさんにされた時と似てる。魂を吸い取られるような感覚。
ま、ま、まずい…!
手を胸元に回し手に力を入れると、名残惜しそうに唇が離れる。私の濡れた唇を拭く仕草もグレンさんに似ている。
「はぁっ、かい、り、さんっ」
「ごめん…少し、嫉妬してるんだ」
「…え?」
そのまま私をテーブルの上に押し倒し、耳元に手をつく。
「グレン…あれは僕だけど、僕じゃない僕がキミのこと…」
海鈴さんはその先を言わず、口を噤んだ。
「…海鈴さん?」
「グレンのこと、夜会の事で好きになった?」
「…え…と、突然、どうし……あ」
何も言えなかった。否定も出来なく、肯定も出来ない。ただ、彼の瞳から逃れようと私は顔を逸らす。
。