二重人格神様~金と碧の王~
何かを察したのだろう。微笑みを浮かべ頬を包む。
「気になっては、いるって顔だね」
顔を付かづけ、近づいた距離。
「か、海鈴さん…」
「いいんだよ、それで。グレンも僕なんだから、そう思ってくれたのなら嬉しい。グレンも君の事、気になっているよ。僕にはしっかりわかる」
胸元を海鈴さんは握りしめる。ここに、いる。そう、確認するかのように。
「最近はグレンが表にいると、いのりを感じる事があるんだ。僕は基本的にグレンの時は覚えてないけれど、戻った時に、なんとなくね…なんでかな。なんて、本当はグレンのヤツ…」
頬にあった手を離し、海鈴さんが目をこする。そして離せばその片目は金色に輝いていた。
「あぁ、わかった…やめてくれないかな…これ以上、言わないから」
頭を抱える海鈴さん。この仕草、以前にも見た。グレンさんが私を襲った時にもこんな事…
「あ、あの」
「大丈夫。もう、おさまったから…」
本当に、大丈夫なの?不安だった。無理をしているんじゃないかって。
その姿に私は手を伸ばす、押し倒されたまま彼の頭をかかえ抱きしめる。
「いのり?」
何を言えばいいのか、何も思いつかない。ただ、私は目の前にいるいとしい彼を抱きしめることしかできなかった。
行き場のない不安を埋めるように、そのまま甘い時間を過ごした
。