二重人格神様~金と碧の王~


こんな時に思い出すなんて馬鹿だけれど…触れる腕がだんだんと熱く感じちゃう。


露骨な態度だったと思う。赤くなっていく頬を隠すように俯くと、歩きにくくなったグレンさんが振り向いた。




「おい。前を見て歩け…って、なんで顔が赤いんだよ」


「あ、いや。それは…その」


こないだの事を思い出して、ドキドキしてます!なんて、死んでも言えない。言葉をつぐむと、暫し黙りこみ何かを察したのかグレンさんの顔もわずかに赤く染まった。


「な、なんだよ」


「い、いえ…」


「その、赤い顔やめろ」


「そ、そんな事言われても…」


腕を離し、気まずさを誤魔化すように髪の毛を書き上げた。そのまま腕を腰にあて、視線を逸らしたまま口を尖らせ言う。


「お前が、普通だったから…」


「…え?」


「突き飛ばしたのも腹が立った。無論、海鈴と間違ったのも」


なんの事かすぐには理解できなかった。


「でも、一番腹が立ったのは、なんとも思ってないお前の態度だ」


けれど、その言葉でなんとなくわかった。もしかして、不機嫌だった事のことを話しているの?



< 291 / 513 >

この作品をシェア

pagetop