二重人格神様~金と碧の王~
「は、離して…よ」
視線をそらし抵抗するもの、その腕からは逃げられない。
「言えないのか?前は気持ち良さそうによがってたくせに」
そ、それは、そうだけど…だ、だって、いやじゃなかったから…。
今だって私…欲しいとは言えないけれど、身体が欲しがってる。
ど、どうしよう…
「あ、の…」
「ん?」
額と額がぶつかり、グレンさんの瞳に私が映る。わたしの瞳にも彼がうつった。もう、だめだ。この瞳にはやっぱり逃げられない。
腕を伸ばしグレンさんの袖を掴む。彼をみあげ、唇を少し開いた時だった。
「随分と、仲がいいみたいだ」
「…え?」
聞こえた声に振り向くと、そこには優雅な微笑みを浮かべる男の姿があった。
グレンさんの瞳と同じように美しい金色の髪の毛。白い肌に気持ち悪いくらい整った顔。
見た瞬間、ドクンと胸が高鳴った。にてる、いや、似てるなんてもんじゃない。
「おと…う…さん?」
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