二重人格神様~金と碧の王~
第4章
不安
一瞬、気のせいかと思った。けれど、その顔は紛れもなく私の父親だ。
いや、だけど、そんなはずはない。似ているけれど、金色の髪ではないし、このような場所にいるなんておかしい。
それに…格好だって、雰囲気だって、なにかが違う。なのに、なんでお父さんと影が重なるの?
突如として現れたその男を見つめていると、壁から手を離しグレンさんが男を睨む。
「お前は…」
「久しぶりじゃないか?海鈴…いや、今はグレンか」
「…だから、なんだ」
「いや、そこの子は海鈴の花嫁だと聞いている。あいつが心に思うものを嫌うグレンが…そのような態度をするのは、珍しいと思って」
気に食わなかったのだろう。あからさまに舌を打ち、そのまま私の手を握る。
「それはどうも。で、なにかようか?海鈴なら中で眠っている。当分は出てこない」
なんて喧嘩越しの態度だ。敵意むき出しのオーラに戸惑ってしまう。
この人、いや、この神様?はだれなの?
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