二重人格神様~金と碧の王~
そんな恥ずかしい事、出来るわけがない。
「重いのは知っている。前に抱いた時に思った」
そ、それは…夜会の時、グレンさんは私の脚に手を回し、楽な姿勢で抱えてくれた。
「な、なら、いいですから」
それに、何をされるかわからないし…。
「へぇ、今日、俺を突き落としたくせにそんな事が言える身分か?」
「う、その脅し方ずるいです」
悪かったって、あやまったもん。それに、仲直りみたいの事したじゃん。あの神様が来たから最後までは…出来なかった、けど。
「ずるくない。事実だ。ほら、来いって」
腕を引かれ、そのまま強引に膝に座る。片腕が腰に回り、もう逃げれないだろう。
もう、強引なんだから…でも、引く手は言葉とは裏腹に優しい。これが、逃げられないと思う理由でもある。
「もう…脚、痺れても知りませんよ?」
「あぁ」
もう片方の手で、グレンさんは再びペンを持ち書き始める。グレンさんの字も海鈴さんと同じように綺麗。
書いている内容は理解できないけど、難しい事なんだろうな。
と、言うか、やることがあるなら私は邪魔じゃないのかな?
・