二重人格神様~金と碧の王~
そう思ったのもつかの間、ペンを走らせたままグレンさんが言う。
「さっき…」
「ん?あ、はい」
「お父さんって、呼んでいた。似ているのか?父親に」
あのつぶやき、聞いてたんだ…。
「はい。雰囲気とか髪の色とか、違いますけど…顔だけはお父さんにそっくりです。だから、誰なんだろうって、気になって…似ているからかもしれないけれど、親近感も感じるんです」
「へぇ、でも、残念だが…あれはお前の父親ではない」
腰にあった手は離し違う紙を取ろうとするが、私のせいで取りにくいようだ。手を伸ばしそれを取るとグレンさんは素直に受け取る。
「お前は人間だろ。あれは神だ。それはおかしい」
「そう、ですよね」
私は人間だもん。お父さんもそう。だから、あの神様がお父さんではないと思うけど…なんか、なにか違う気はする。
「あの男の名前はシャカ。傍観者って、聞いた事あるだろ?」
「あ、はい」
シャカ…確か、習った気がする。以前、グレンくんと話していた際に、この世界を統一する4人の神様の上に神様が存在すると。
その神様は天界のことや人間界のことに関して干渉を一切しない神様だと。存在し、時の流れを見守る事が使命だと。
そんなに詳しくは聞いていないけれど、そんな感じだったと思う。
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