二重人格神様~金と碧の王~

「グレンさん」


手を伸ばし、私はその頭を抱え胸に抱きしめる。グレンさんの身体は少し震えた。


「お前…」


「グレンさんは、一人じゃないから…」


そういうと、グレンさんは目を見開き、何を察したのか、ふっと息をこぼす。


「海鈴のヤツ、余計な事を話したな。まじで、腹が立つ。俺はお前が大嫌いなのに…いつもそうだ」


「…ごめんなさい」


「お節介で、頭が悪い」


「……」


「……そんなんだから、俺がグレンだった…んだよな」



自嘲ぎみに笑い私の腕を軽く振り払う、そして置いたペンを持ちまた何かを書き始める。


その行動をだまったまま見ていれば、不意に手をとめ私を見つめた。


「…ん?」


「父親、どんなヤツだったんだ?確か、海鈴が探しているけど、見つからないんだったな」



「あ、はい。そうなんです。本当にどこに行ったのか…。お父さんはとても優しい人です。寂しい事は沢山あったけれど、一緒に遊んだり、泣いたり、笑って、怒って…いつも私の味方でした。大事な家族です」


「そうか…」


「グレンさんの…両親はどんな神様でした?」


< 300 / 513 >

この作品をシェア

pagetop