二重人格神様~金と碧の王~


「さぁ…俺はグレンだ。親との記憶はない。グレンを抑えるために、ほかの神との接触は禁止されていたからな」


「そう、なんだ…あの、ごめんなさい」


「なんで謝るんだよ」


ペチッと額を軽くたたかれ、いい音がなる。


「親との思い出はいらない。俺にも…親と思える存在はいた」


「そう、なんですか?」


「あぁ…もう、遠い昔に会えなくなったけど…あのじじいだけは味方だった」


「おじいさん?」


それは、グレンさんの両親の親ってことかな?


「一族にグレンの存在を見張る神がいるんだ。その神はかつて屋敷に仕えた神で、海鈴が産まれて俺が出て来たころ、見張り役に抜擢された神だ」




その神がグレンさんが表に出てくると、牢獄に閉じ込めた。幼くて何も知らない自分は泣き叫んだと、グレンさんは言う。


けれど、その神はただ閉じこめるだけじゃなかった。



閉じ込めることに反対し、グレンと交流をすることになる。グレンさんに勉強を教えたのもその神様だ。


自分を見張る敵だった、その神にいつしか心をひらき「たったひとつの味方」だと思ったとグレンさんは言った。


「そうだったんですね…」



「あぁ、まぁ、すぐに手をあげるわで、怖かったヤツでもあるけど、アイツは俺の親のようで親じゃない。でも、誰よりも信用できる味方だった。もう、長い間あってないが」



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