二重人格神様~金と碧の王~
「…亡くなった…んですか?」
「さぁ…突然、いなくなった。探しても見つからない。おかしな事に、アイツがいなくなってから、俺は牢獄に閉じ込められなくなった。ま、成長していたのもある、海鈴が俺を制御出来るくなったのも理由だかな」
「会いたくないんですか?私は、会いたい…お父さんに」
「どうだろうな。会っても何も変わった事はない。俺に味方は誰もいない…じじいはいつかできるなんて戯言を言っていたけど、期待には応えられないからな」
「……」
なんだろう。なんで、グレンさんはそんな事を言うんだろう。
胸がザワ付いた。胸元を握り締め、わたしはこみ上げる感情を抑えながらグレンさんの瞳を真っ直ぐに見つめた。
「グレンさん、ひどい」
「…は?なんだよいきなり。何もしてないだろ」
「しました」
「してない」
「したんです」
握った手でグレンさんの胸板を叩くと、睨まれる。
「なんだよそれ。不細工な顔して。何が言いたい」
「さっき、私が言った事聞いていなかったんですか?」
「…さっき?」
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