二重人格神様~金と碧の王~
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いのりを追い出したあと、グレンはその場にしゃがみ込み頭を抱えた。
窓から流れる風が髪を揺らし、深いため息が零れた。
「なんだよ…あの女…」
いのりを追い出した後でも、グレンはひどく動揺していた。その理由はわかっている。
いのりに言われた言葉はすべて事実だったからだ。
だれかを信用するのは怖い。わかっている。怖がっているだけだと。
けれど、それを言葉にされ、動揺して追い出してしまった。
それをグレンは少し後悔していた。最近、いのりといる時間は不思議な気分になる。それは心地よいと感じていたんだ。
1人じゃない。と、言われたのも、嬉しかった。たとえ海鈴から聞いたことだとしても、その言葉は嬉しい。
なのに、なぜ、素直になれないのだろうと、グレンは思っていた。
「バカだな…おれは」
そう聞こえるか聞こえないくらいの声でつぶやいた時、その声に反応するような声が響いた。
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