二重人格神様~金と碧の王~

「そうだ…お前は、バカなヤツだ」


空耳ではない。なら、一体誰なのだろう。


グレンはすぐに顔をあげ、その主を見ると、そこには窓に腰をつきグレンを見下ろすシャカの姿だ。


その場から立ち上がり、警戒の眼差しを向けるグレンとは対照的にシャカは微笑んでいる。口だけは。


「なんの用だよ。覗いていたのか」


「聞き捨てならない。覗いてはない、堂々とここから見ていた。姿を見えないようにしてだが?」


「ふざけるな…意図はなんだ」


少し強い風がふき、グレンとシャカの髪がゆれ、沈黙が流れる。その沈黙を打ち破るようにシャカは髪を耳にかけた。


「グレン、お前はなぜここにいる」

「…は?」


問う質問と違う台詞にグレンは腕を組み数歩ちかよる。


「関係ない。お前は傍観者だ。俺たちの問題にはいるな」


「おかしくないか?グレンは裏の存在であり、ほとんど表には出てこれない存在だ。それなのに、最近では表と同じ時間、出て来ている。海鈴の力が弱まっているみたいだな。人間の願いは叶えているんだろう」


「話聞いているのか……まぁ、いい。あぁ、そうだ」


グレンの発言を無視するシャカに諦めたかのように答える。

< 306 / 513 >

この作品をシェア

pagetop