二重人格神様~金と碧の王~
「それは、愉快な話だ。それなのに、力が弱っているとは。そこにつけこみ、お前は出てきているのか?で、最初は敵意をむき出しだったくせに、最近ではあのような顔をするくなったと」
「さっきから、なにが言いたい」
遠回しの言い方にイラつくグレン。
「いや…。グレン、お前もあの花嫁に惚れているな。同じ肉体を有しているから、それも定めか」
「シャカ……言いたい事は、それか。それで、海鈴がいない事をいいことに様子を見に来たのか」
「それもある。だが、一番見たかったのは、あの花嫁だ」
「それなら、もう見ただろう。帰れ」
「あぁ、帰るとも。だが、その前に…お前に警告をしておきたくて」
シャカは立ち上がり、窓枠にたつ。そして、言う。
「いのりは、私の大切な子だ。ある約束の為に守らなければならない」
「約束?…何を言っている」
「素直になれない、正面から向かって来た彼女を拒否する意気地なしに答える義務はない」
「……」
「いいか、グレン。いのりは特別な子だ。決して彼女から目を離してはいけない。もし、離し、何かが起きたら…私はお前らを許さない。この世界ごと破壊するつもりだ」
シャカの視線は鋭く、とてもその瞳からは冗談だとは思えない。いや、傍観者であり、交流をほとんどしなかったシャカがここまで言うのはおかしい。
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