二重人格神様~金と碧の王~
「いったい、なんなんだ…どういう関係だ。アイツが言っていた。お前と父親の影が重なると。それは…」
「グレン、お前にも裏があるように、私にも言えない影がある。そして、いのりにもいのりが知らない影がある」
「……」
「それは、知られてはいけない。それに次期にアイツらがまた動きだす。それには厳重に注意するがいい」
そういい、シャカはグレンに背を向ける。そして、不意にふりかえり先ほどとは違う視線でグレンをみた。
「グレン、わたしも思うよ」
「…え」
その顔は、とても優しい。なにかを慈しむような顔。
「怖がっていては、なにも変わらない。泣いていて投獄されていた時とは違う。お前には一歩踏み出せる道(あし)がある。怖がらないで、踏み出せ。その手を掴め。そうすれば、存在出来たことが、たとえ裏だとしても…良かったと、思える」
「……」
「あの子なら、そうさせてくれる。アイツの…娘なのだから。だから、バカでもいい…その温もりが欲しければ飛
び込め。お前なら出来る、グレン」
「!」
待て!そういう間もなく、シャカは窓から飛び降りた。慌てて追うもの、その姿はやはりない。
「なんだよ…」
何が言いたかったのか…。言いたい事だけいい、疑問ばかり遺して、いなくなるなんて卑怯だ。
額をかかえ、グレンは考え込む。考えることは沢山ある。だが、最後に遺した言葉はグレンの脳内に焼き付いていた。
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