二重人格神様~金と碧の王~
形を確かめるかのように、手の甲をなぞり、そのまま絡め握る。
それだけなのに、ドキドキした。
頬が赤くなり、グレンさんを見上げると彼はいう。
「まさか、こんな風な気持ちになるなんて考えなかったよ」
「え?」
「あいつの好きなモノは、全部嫌いだった」
うん、と、わたしは相槌をうつ。
「お前のことも、な」
「知ってます。何回も言われましたから」
「そうだな。おかしな話だ。あんだけ嫌いだったのに、お前に告白するなんて」
「う、うん...」
今朝のこと、また、思いだしちゃう。
「悪かったよ。あんな、場所で。あの後、みんなの視線が痛かった」
「そ、それは、私もです。それは、そうですよ...あんな、場所で、あんなことを...」
「でも、言わないと駄目だって思った。このままじゃ、俺はスッキリしない。海鈴にばかり独占させたくないって思ったんだ」
「あ...は、はい」
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