二重人格神様~金と碧の王~


「駄目じゃなくて。海鈴とはしてるだろ...俺は駄目なのか?」

「だ、だって」


「好きだ」

「あ...」


「抱かせろ。乱暴にはしないから」


な、なんか、この口説き方、誰かに似てる。


海鈴さんとした時も、こんな口説き方だった。やっぱり、重なる部分はあるんだよね。


そして、そんな彼に逆らえない。


触れる手はとても優しくて、気持ちいいから。


「抵抗、やめたの?」

「うん...」

「なら、いい?ずっと、触れたいの我慢してたんだ。海鈴みたいに優しくはしないけど」


迷うことはなかった。グレンさんの頬にふれ、唇にキスを落とすとそれが合図のように倒れこむ。


勢いに任せるとか、私らしくはない。でも、いまは、任せたい。

好きって、言葉は媚薬だと想う。


とくに、グレンさんから発さられるその言葉は、重くて、深い。


告白されたその夜、初めてグレンさんと眠れない夜を過ごした。


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