二重人格神様~金と碧の王~
***
「……ん」
翌朝、すこし薄暗い部屋の中、わたしは目が覚めた。ぼんやりする意識の中、耳には外から水の音が聞こえる。
あれ…朝か…わたし、いつの間に寝たんだろう…。まだ重い瞼をこすり身体を起こすと、彼はまだ眠っている。それを確認したあと、外を眺めれば大粒の雨がふっていた。
雨がふっている。だから、薄暗いんだ…。
雨の音のせいだろうか、なぜだか、喪失感が襲い、昨夜の事を思いだす。
昨日、グレンさんと話合って海鈴さんに戻ることになった。寂しいけれど、そうしなければ二つの存在を保てない。それはわかっているけれど、やはり寂しい。
永遠に会えなくなるわけじゃないのに、なんでこんなに寂しいんだろう。
隣で眠る彼は、もう、グレンさんじゃない。海鈴さん、なんだよ…ね。
ギシッと音をたて、わたしは海鈴さんに近寄る。そっと、髪の毛を撫でれば、彼は僅かに顔をしかめる。
「……」
海鈴さんの事も好きだけど…どうして、彼をみるとグレンさんを思いだしてします。
最近、グレンさんと長くいたせいだ…本当なら、戻って嬉しいはずなのに、また会いたくなる。わたしってば、おかしいよね。
自分の考えがおかしくて思わず失笑してしまう。
.