二重人格神様~金と碧の王~


「眠っている間、感覚の片隅でいのりを感じていたから。グレンと仲がよくていいことだよ」


「そんな、事…。あの、それより今日は休んでください。私に手伝える事なら、なんでもしますから」


起き上がった身体を押し戻し、布団をかえると彼は素直に受け入れ額に手をあてる。


「わかった、そうするよ。実はかなりきついんだ。でも、なんでこんな時に戻ったんだろう。僕が弱っているなら、グレンが出て悪い事沢山するはずなんだけど」


その質問に私は答えられなかった。だって、元に戻るように話をしたのは私だ。こんな状態なら、すぐに戻らないほうがよかったのかも。



黙ったままの私に海鈴さんは手を伸ばし、手を握る。子供のような仕草に微笑むと彼も分笑ってくれた。



「雨がやんだら、おこして」


「…はい」


「それまで、ずっとこうしていよう」


「もちろんです」


「ありがとう。ねぇ、いのり?」


「はい?」


「…起きたらさ…僕は…僕でいられる、のかな?」


「え?」



いま、なんて言った?小声でささやかれた声も、聞き返した言葉も…雨の音で聞こえなかった。その台詞を最後に海鈴さんは眠ってしまった。




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