二重人格神様~金と碧の王~
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「海鈴様、まだ起きないの?」
「はい。呼んでも起きてくれなくて…なんか、ごめんなさい。海鈴さんがこんなに弱っていたなんて、知らなくて…」
その日の夜、わたしはフェイランさんと食事を口にしていた。
話の内容は海鈴さんのこと。あれから雨はやみ海鈴さんを起こした。でも、彼はどんなに声をかけても起きなかった。
それで、結局…夜になっても目を覚まさない。言い切れない不安ばかりがつのり食事さえ喉を通らなかった。
「そんなに心配しなくても大丈夫よ。二つの人格をコントロールするのはとても難しいことなの。時期に目を覚ますから」
「…そう、ですかね」
「えぇ。小さい時、同じ事があったわ。力が弱ってグレン様を抑え切れなくなったの。海鈴様ってば何日も起きなかったわ」
「はい」
「皆が心配したけど、目が覚めたらグレンを制御していた。だから、今回も大丈夫よ。ま、前回とは状況が違うけれど…根本はグレン様の力が大きく出ているってことだから」
「……」
落ち込み、フォークを手にしたまま動かない私にフェイランさんは笑いかける。
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