二重人格神様~金と碧の王~
「あの、それじゃあ…ルーテルさんはどうなってしまうんですか?それに、最近、屋敷で姿を見ていないような…」
「当たり前よ。少し、罰として上の部屋に閉じ込めたから」
「え!?」
「あ、大丈夫。閉じ込めたって言っても、牢獄とかじゃないから」
「そう…ですか…」
だから会わなかったんだ…。
「それで、閉じ込めた後、どうするんですか?」
「それが問題なの」
なにが?そう聞き返す前に、フェイランさんは難しい顔で腕を組む。
「海鈴様の事が落ち着いたら考える話だったけど、そうはいかなくなってしまったわ」
どういう事だろうか。フォークをおき、首をかしげるととんでもない事を口にした。
「いなくなったのよ。彼女」
「…え…い、いなくなった?」
「そう。見張りの目を盗んで、姿をくらませたわ」
ルーテルさんが…?その瞬間、ゾクっと寒気がした。また、あんな事をされるのかもしれないと言う恐怖が襲う。
手が振るえ、緊張をほぐすようにゴクリと息をのむ。
「黙っていてごめんなさいね。不安をあおらないように、海鈴様といのり様には黙っていたけど…海鈴様が守れない今、あなたにも気をつけてもらいたくて」
「…はい」
そっか…海鈴さん、寝込んでいるもんね…気をつけなくてはいけないんだ。
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