二重人格神様~金と碧の王~


「あの…さっきの声は貴方なんですか?ずっと、ずっと前から私に呼びかけていた声も…シャカ様に似ている」



そう囁くと全てを見通したかのようにシャカ様は空を仰ぐ。


「そうだよ。ずっと私は君に語り掛けていた。ここに呼んだのもわたしだ」


やっぱり。考えていた事が確信にかわる。初めてあった時に感じた違和感は間違いじゃなかったんだ。


「あの、どうして…わたしにそんな事を?あなたのような神様が人間の私に、そんな事をするんですか?」


「それは、ある約束のため」



その場から飛び降り、私の前にたつ。脚を折り曲げ、視線がぶつかるとシャカ様はそっと唇に手を当てる。



「覚えているかな…私は君の味方だよ」


「…あ」

その仕草に、ある記憶が蘇る。


ここに来る時、人間界でわたしはある人に助けられた。そして海鈴さんに助けを求めろ、って言われた記憶。


どうしてと疑問を投げ掛けた私に、あの人は言った。私の味方だと。その時の人と同じ仕草だ…



「あなたは、あの時の…」


信じられない。あの時、私を助けてくれたのが…天界の神様だったなんて。


しかも…神様の中で事実上、一番上にいる神様が…。



「思いだしたみたいだね。あの時から、私はずっと見ていた。語りかけていたのも、いのりがこの天界でどうなっていくのか、見守るためだ」

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