二重人格神様~金と碧の王~


溢れ出す涙は止まらない。お父さんに会えた事と、生きていてくれた事が嬉しくて、拭いても零れる涙をお父さんは身体を離し少し乱暴に服で拭う。



「悪かった。寂しかったか?」


「寂しかったなんてもんじゃないよ!不安だった。お父さんまでいなくなってしまったら、私は一人ぼっちだって、何回も考えた」


「そう。本当にごめん」



頭を撫でる仕草はお父さん。随分と長い間あっていなかったから、その手のぬくもりはとても暖かい。


「いいの…不安だったけど、こうして会えたから。でも…どうして、お父さんが…シャカ様なの?それに、その髪の毛も…」



どういうこと?そう、問う私にお父さんは言う。



「そのことを話そうと思って、今日、いのりをここに呼び出した。まどろこしい事をして悪かったよ。でも、私の正体をいのり自身が気付かなければ、言わないと決めていたから。それで、いのりの意識に問いかけ今まで見ていたんだ」



そう、だったんだ…。だから、あんなに頻繁に声が聞こえたって事か。



「それで、もう分かっているかもしれないが、私は神だ。この髪の毛も、本来の私の姿であって…人間界にいた時は目立たないように黒にしていた」


本体の姿なの?これが、お父さんの?


足元から頭までくまなく視線を移動させると、お父さんはその金色の髪を耳にかける。



「この姿じゃあ、お父さんとは思えないか」


「え?」


そんなこと…ない。だって初めてみたあの時、お父さんだって思ったんだもん。見た目なんて関係ない。

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