二重人格神様~金と碧の王~


勢いよく首をふり否定すると、お父さんは嬉しそうに微笑む。


「よかった。いのりも…本当は私と同じ色だよ」


同じいろ?いまいちピンとこなく自分の髪に触れる。



わたしは黒だけど、本当は金色なの?だけど、まって。お父さんが神様ってことは…



「あの、お父さん?そうなると…わたしも…あ、でも、その前にお母さんはどうなるの?まさか、お母さんも神様で…えっと、あ、あれ」


混乱する私を落ち着かせるように微笑む。



「違うよ。彼女は人間だ。そして、その間に生まれたいのりは、半神。ハーフってことになる」


「は、ハーフ?えっと…じゃあ、か、神様なの?」



よく考えればそうかもしれないけど…そんな自覚はない。


海鈴さん達みたいになにかに変化できるわけじゃない。それに、生きている時間も少ない。ただ、普通に人間と同じように生きてきたのに…


色々な事を考えると、お父さんは見透かしたかのように言った。


「あぁ。でも、今はただの人間だ。そう、今はね」


「どういう、意味?」


「いのりが生まれる瞬間、わたしはキミの中にある神の力を封印した。私の血を引き継いで、どうなるか判らなかったからだ。それに、人間の母親に負担がかかることも怖かった。彼女は身体が弱かったから…強大な力をもつ子を産むのは、とても…」


言葉と閉ざすお父さん。その先の言葉はなんとなく理解できた。お母さんは、私を生んですぐに無くなったから。


そして、なんとなく、なんとなくだけど、その言葉に私は手の平をみる。そして、お父さんを見上げた。

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