二重人格神様~金と碧の王~


「いのりが生まれて、彼女とどうやったら半神だと永遠に分からないか考えたよ。創設者である私が、子供をもつことは良いことではない。だから、その力が他の神にバレないように、あの町にいった」


あの町とはお父さんの実家のことだろう。


「悪いことをしたけれど、いのりがおばさんと慕っていた人間はわたしが洗脳した。記憶を作り変え、物心ついた君が不審に思わないようにつくりあげた」


「う、うそ…」


「彼らを選んでよかったよ。いのりを大切にしてくれて、私まで息子のように扱ってくれた。感謝している」


「……っ」


おばさんと、おじさん…が…ショックで言葉が出ない。


でも、そうだよね…お父さんは神様になるとそこの関係が矛盾してきてしまう。


落ち込む私にお父さんはそっと頭を撫でる。



「仕方がなかったんだ。いのりを守るため。それに、あの町を選んだのにも理由がある」


「え?」


「知っているはずだ。あそこには龍神がいる」


「それって、海鈴さんのこと?」



あの龍神様は海鈴さん。それは、前に言っていた。あそこで人間の願いを聞き届けかなえるところ。


「そう。その力の大きさに、いのりを隠そうとした。だから、頻繁にあの町にいったんだ」


聞けば聞くほど、色々なことが私を混乱させる。理解しようとも、心が付いていかない。


「え、あの、えっと…」

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