二重人格神様~金と碧の王~

「上手くいったと思う。いのりの封印も均等をたもち、海鈴の力に隠されていたから。そう、全てが上手くいっていたんだ…いのりと海鈴が出会った事を除いてはね」

「…あ」


「実はあの日、私は天界に帰っていたんだ。出張と嘘をついてね。過去の出張はすべて天界に帰る言い訳だ」


そうだったんだ。だから、連絡がつかない事が多かったのね。



「そのいない間にいのりは人間界にいた海鈴と出会い、神同士の問題にかかわることのなってしまった。花嫁争いの家中に。帰ってきた時、とても悩んだ。どうすればいのりが助かるのか、それを考えた結果、海鈴を利用しようと決めた」


「だから、私を助けて、海鈴さんに頼れ、って、言ったんだ」


「そうだ。うまく取り入ったみたいで安心していた。それで。いつ迎えに行こうか様子を見ながら考えていたけれど…また、予想外の事が起きてしまった」


それは、なに?そう、聞き返す私にお父さんは目を細めた。黙ったまま、視線をそらし言い難そうに口を開く。


「様子を伺い過ぎて、わからなかった。海鈴がいのりを思い、いのりも海鈴を思うようになってしまったことに」


「あっ…そ、それは…」



「それだけじゃない。あの、誰も受け付けないグレンもいのりを思うようになった。海鈴を利用した事を後悔したし、最愛の娘をこれからどうすればいいのか悩んだ。思いあう者を無理に引き離すことは出来ない。だから、こうして声を掛け続けたし、みかねて助けにいったこともある」



「城下に出かけたときのこと?」


あの時も、わたしは助けられた。


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