二重人格神様~金と碧の王~
「そうだ。あの時は、海鈴…いや、グレンをこの手で始末しようかと思った。あの時のグレンはいのりを侮辱するばかりだったから。今のグレンはそうじゃないけど」
うん…確かに今のグレンさんは私を助けてくれる。優しくて、大好きになった。
「だから、このままいのりが幸せならそれでいいって考えたけれど、そうはいかない状況にある。いや、そうなってしまった」
「え?」
ピリッと空気が張り詰めた。再び月が隠れ、暗くなる。僅かな光に照らせれ首をかしげると、お父さんは言う。
「いのり、わかっていると思うけど海鈴の力はとても弱っているね」
「あ…はい…」
「その原因、なんだかわかる?」
なにって…
「えっと…グレンさん力が強まって、海鈴さんが押されているって聞いたよ」
そう言うと、お父さんはため息をはく。
「それも一理あるけど、グレンの力が強まった原因だ」
「それは…よく、わからなくて。色々と話を聞いたけど、不明な事が多くて…でも、どうしてその事となんの関係が?」
問う私にお父さんは数秒黙り込み、言いにくそうに言った。
「きみのせいだよ。海鈴が弱っていることも、グレンの力がまし表と裏が逆転しそうなことも、すべて」
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