二重人格神様~金と碧の王~

わたしの、せい?意味のわからない事に思わず動揺してしまう。どうして、わたしのせいなの?私がグレンさんと一緒にいるから?


キョロキョロと視線を泳がせるわたし。お父さんはそっと肩に手をおく。


「どうして?それは、いのりが私の娘だからだ」

「どういう、こと?」


「さっき。私はきみの力を封印したと言ったね?その封印が神である海鈴とグレンに刺激され、解けそうになっているんだ」

「封印…が?」



「そう。すべてをみていたからわかる。海鈴がいのりに触れると力が増さるといったのは、いのりに封印した神の力を貰っていたからだ。だから、最初のうちは貰うだけで良かった。けれど、いのりはグレンとも親しくなってしまった。グレンにも力を奪われているうちに無意識に力を補給しようと、今度はいのりが海鈴の力をうばっていたんだ」


「そんな…わたしが、そんなことを?」



「無論、いのりは自覚がないことだ。でも、いのりが奪った海鈴の力は強大。その力をかてにいのり自身に力も増している。もう、幸せならば、なんて言って見過ごすことが出来ないほどに」


「……」


「いのり、私とともに行こう。このままいのりといては、彼は危ない。それに、いのり自身もだ。封印がとけてはいのりはその姿ではいられない。それに…力のコントロールが上手くいかなくて…身体に負担がかかる。それに加え海鈴といては、コントロールしようとさらに力を奪うだろう。もう、ここまで来たら引き返せない。海鈴を助け
たいのならば…ここを離れて、私と、私の世界に行こう」



お父さんの世界に?そここを離れるってこと?


「え…あの…」


「迷っている暇はない。彼の灯火はいまにも消えてしまいそうだ」


そんな…今の海鈴さんを助けたいなら、彼から離れなくちゃいけないの?

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