二重人格神様~金と碧の王~
そんなの…いやだ。だって、せっかく思いが通じあったのに…離れたくなんてない。
首を左右にふった。震える口で「いやだ」と口にすれば、お父さんは肩にあった手を離す。
「いのり…いいのか?海鈴がこのまま…消えてしまっても」
「そんなの、いやだっ」
「なら、答えは決まっているはずだ」
少し怒りを含んだ声に涙がこぼれた。いやだよ…そんなの。だって、こんなに好きなのに離れなくちゃいけないの?
手で顔を覆い、声を堪えて涙を流す。肩は小刻みに震えて、胸がぎゅうと締め付けられちた。
お父さんの言う通り、今の話を聞いて答えなんて決まっている。でも、いやだよ…
「いやだっ」
いまさら、彼から離れるなんて出来ない。彼と過ごした時間は私にとって大切な時間だ。この先もずっと一緒にいたい…いたいよ…。
なき続ける私にお父さんは何も言わない。黙って私を見つめるだけ。
どうしてなにも言わないの?答えがそれしかないから?離れるなんて、絶対に嫌だ…いただよ…
流れる涙を拭いお父さんを見上げる。その顔はとても険しく、答えはもうないってわかった。
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