二重人格神様~金と碧の王~
「ここを離れたら…二度と…会えなくなる、よね?」
「会えるよ。でも、また海鈴の力が弱ってしまう。この連鎖をもうとめられないんだ。いのりが私の娘である限り、眠る力をコントロールしなくてはいけない。それは今のいのりには出来ない」
「……」
「いのりは、海鈴とグレンに沢山守ってもらった。今度はいのりが助けてあげる番じゃないか?傍にいるだけが、愛じゃない。いなくなったとしても、忘れない限り愛は存在する。答えを出すんだ…いのり」
「……っ」
それでも…傍にいたいのに…
言葉をつぐむ私にお父さんはため息をはき何処かに歩きだす。それを視線で追うと不意に振り向く。
「よく考えておくんだ。三日後、また来る。その時にきちんとした返事を待っている」
「あ…お父さん!!」
そう叫ぶのと同時にお父さんは空高く飛び上がり、一瞬の間に姿を消してしまった。
もう、お父さんの姿は見えない。月が雲で隠れ周囲が暗闇に包まれる。
返事を待っている。なんて…返事なんてかわらない。かわらないよ…絶対に…
「…海鈴さん…」
そう、思うのに…なんでか悔しい。その理由は分かっている。傍にいたいって…その考えは変わらないって思っているのに…
海鈴の顔を思い浮べると、心のどこかで揺らいでいる。
分かれるのはつらい。でも、海鈴さんが助かるなら、って。どうしたらいいのか。もう、わからない。
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