二重人格神様~金と碧の王~
再び流れる涙を拭い、私は踵を返す。
「部屋に…戻ろう…」
海鈴さん、もう起きているかもしれない。こんな泣き顔を見られたら心配するよね。
この事は…よく、考えよう。三日間、考えて答えを出そう。
扉をあけ、階段をおりる…長い渡り廊下を歩くものまた涙はこぼれた。その涙は私の胸を苦しめる。
どうして、こんなことになったの。わたしは海鈴さんといたいだけなのに…
お父さんの口から語られた事実はとても残酷な話ばかりだ。
あんなこと、知りたくなかった。人間のままどうしていられなかったんだろう。封印ってものが、なんで弱まってしまったんだろう。
海鈴さんと、グレンさん?どっちとも仲良くしたから?だって、それは…どっちも、優しくて…どんな時も守ってくれて…
あんなことをされて、好きにならないなんて無理だよっ。
「…うっ」
だめだ。涙が止まらない。
思わずその場にしゃかみこみ、わたしは膝を抱え込む。声を抑え、肩を震わせながら涙をこぼした。
まるで子供のように泣くわたし。お父さんのことは大好きだ。でも、この時ばかりはとても嫌いになるほど、居た堪れない思いが溢れる。
目が腫れてしまうことなんて、どうでもいいってほど流れる涙を拭き続けた。
それでも、止まらない涙はもう、どうしようもない。
「…う」
ただ1人で泣き続け、暫くの間、その場から動けなかった。
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