二重人格神様~金と碧の王~
何も出来ないもどかしさに、悩む毎日だ。
「いいえ。お傍にいるだけで、海鈴様は幸せだと思いますよ」
「そう、かな。ありがとう」
「いえ。あ、では私は行きますね。夜は更ける前には戻ってきます」
「うん。気をつけて」
頭をさげ、部屋を出ていくアレスを見送り、私はため息をはく。
いっちゃった…急遽、夜会だなんて珍しい。この世界にきて一回だけ夜会にいったけど、随分前から知っていた。あんなに規模の大きい夜会をすぐに開けるものなんだ。
この世界は、本当に不思議なことばかり。いい加減、なれなくちゃ。
そう思い、イスに座りテーブルに置かれた本を手にとる。この本はこの世界のもの。グレン君のおかげで私は大分、字が読めるようになっていた。
まだまだ、だけど…海鈴さんを驚かせたくて勉強をしている。なんて、離れたくない抵抗だけど…
そして、そのまま、暫くの間、私は本を読み続けた。
***
時同じく、違う世界に二人の男がいた。
呆然とどこか遠くを見つめ、その男はため息を零す。そのため息にもう1人は呆れたようにため息をはく。
「シャカ様、そのため息、聞き飽きました。いい加減にしてください」
突き放すような言葉に、シャカは失笑し振り返る。
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