二重人格神様~金と碧の王~
***
「は、はは!見たか?あれ!これは、傑作だ!」
時同じくして、その光景を見つめる二人の男がいた。
声を荒げ、腹を抱えながら笑う男にもう1人の男は呆れたように言う。
「呉羽様、下品な笑い方をしないでください」
「なにを言う!これが、笑わずにいられるか!」
その場にいたのは、冥界の王である呉羽と側近の男だ。
「何をいう!これが笑わずにいられるか!まさか、あの剣で覚醒してしまうなんて、予想外なことだ。それに、あのグレンが、あんな顔をしてさ…はは!これは、傑作だ」
冥界から、剣が奪われたあと、呉羽はその扱いがきになり、陰から見ていたのだ。
結果はある意味、想定内で想定外。ルーテル側がなにかするのはわかっていたが、いのりがこのような事になるなど、誰も考えてはいなかった。
「みたか?あの泣いた顔、消えていく女に手を伸ばすなんて…馬鹿だろ」
「…言い過ぎですよ」
「何が言いすぎだ。どこの王も…本当…馬鹿だよ。人間の女なんかに惑わされて…我を失っている。神と言う存在をなんだと思っているんだ」
「……呉羽様、他界の王を悪く言うのはよろしくないです」
「…悪く言いたくもなる。人間の何処がいい。ましてや、愛なんて…くだらない。そんなものがあるから、過去に過ちはおこった。あいつらもそうだ。愛したゆえにこの結末は起こってしまったんだ」
・