二重人格神様~金と碧の王~


そう言うと、馬鹿にするように笑っていた笑顔は消え、無表情のままグレンを見下ろす。

「おい、グレン…お前はこれから、どうするんだ?あの剣で覚醒した女は、これから苦しむだろう。なんだって、無理やり力を起こされたんだ。暴走してもおかしくない…なんて、俺には関係ないか」


呉羽はいのりが半神だと知っていた。それは、以前の夜会で彼女の血に触れた時から知っていたのだ。


なんて、酷い男だ。それを知っていて隠していたのだから。


剣を奪われた時も、本気なら取り返す事ができたが、この男はそれをしなかった。


楽しむために。そうして、このように見ているのだから、そうとう性格に問題がある。


「戻るか。いいものを見せてもらったしな」


「剣は…取り戻さなくて、よろしいのですか?」


去ろうとする呉羽に男を声をかける。その男に呉羽は振り向かずに言う。


「いらないさ。なにかあればシャカが返しにくるだろ…俺だってあんなもの必要ない…」


そういい立ち去る呉羽をため息をはいて追いかけたのだった。

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