二重人格神様~金と碧の王~


「あぁ。だが、半分とはいえ、その神の力が急速に蘇ると、今まで人間だったいのりには相当な負担になる。だから、こうして連れてきて、その覚醒する力を少し抑えている。まぁ、本当に少しだだが…どうも、同じ血を有していると、コントロールが上手くいかない。完全に封印するのか簡単だが、漏れ出したものを抑えるのは、もう…不
可能だ…その身体の苦しみは覚醒したことによる反動だ」


信じられない話だ。でも、「うそだ」なんて、思えなかった。


髪の毛の色だけじゃない、身体が苦しいからもあるけれど、なんか、前と違う気が微かにする。


これが、覚醒したってことなの?


「あの…じゃあ、もう、私は人間じゃなくて、半神なの?」


「まだだよ。覚醒したばかりで、人間だった身体がこの力を拒否している。上手く同化出来るまで半神じゃない。でも、人間でも、ないが」

「…そう…なん、だ…あっ」


その時、また、身体中に痛みが走った。突き刺さるような痛みに身体を抱きかかえる。


「あ…いっ…たい」


「いのり?ほら、こっちに来なさい」


抱きかかえていた私の身体を再度、その場に沈め浮かぶ睡蓮の花を手に握らせる。


「これを持つといい。この花は私の力が宿っている。少しは、痛みが和らぐだろう…まぁ、その場しのぎに過ぎないがないよりはいいだろう」


そう言うと、沢山の睡蓮の花が私を囲むように集まって来た。


「うっ…う、ん…」


「…すまないね。こんな目に合わせてしまって…私のせいだ」


「えっ…」


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