二重人格神様~金と碧の王~


***

いのりが眠ったのを確認したあと、シャカは塞いでいた手を離した。


そのまま立ち上がり、軽く髪の毛を振り払いそのまま歩きだす。


真っ白で、睡蓮の花が浮かぶ湖を歩くと、少し離れた場所に誰かがいた。


頭をさげる仕草に、笑みを浮かべると、それは小走りでシャカに近づき、その場に膝をつく。


「戻ってきたか」

その者は、グレンに「じじい」と呼ばれ、常にシャカの傍にいた神だ。


「はい。只今、戻りました」

「あぁ」


軽く返事を返すと再びシャカは歩きだす。その後ろを追うように彼も歩く。


「で、積もる話は出来たのか?」


「今更、話すこともないです」


「なにも?いきなりいなくなった理由があるだろう?ワザとおいて来たと言うのに、この臆病者」


その言葉に、男は言葉に詰まる。そして、咳払いをして、言う。


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