二重人格神様~金と碧の王~
「臆病者で、結構です。そ、それより…いのり様の御体調はいかがですか?」
話を切り替える言葉にシャカは口ごもる。そして、今までで一番深いため息をはき、言う。
「覚醒した力にあてられている。とても苦しいようだ」
「左様ですか…こればかりは、仕方がないですね。上手く力と同化するまでは」
そうだな。と、軽く返しシャカは黙り込む。その後ろを黙々と追う男。
ゆらゆらと揺れる睡蓮の花。歩くたびに波打つ足元と、なびく金色の髪の毛。
どのくらい、沈黙が流れただろうか。
長いような、短いような沈黙の後、シャカはいつも座っている玉座に腰を下ろす。
そして、長い脚をくみ、肘をつきながら言う。
「それでヤツは…あれから、どうだったんだ?」
「え?」
先ほどまで、黙っていたシャカの言葉に男は振り返る。
言葉の意味を考えるように視線を落としたあと、その場に座った。
「グレン様なら、驚いていました。シャカさまがいなくなった後、私もあの場から離れました。そして遠くから見ていましたが…起こった事が理解できないようで…その、放心状態で…」
「はは!それも、そうだろう。人間だと思っていた女が、まさか私の娘だなんて想定外の事だろう。で、それから?」
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