二重人格神様~金と碧の王~

***


『ここは…どこ?』


お父さんに目をふさがれたあと、魔法にでも掛けられたように私は眠りについた。


そして、眠りの中…わたしはとても広い草原に立っている。

少し強い風が草花を揺らし、緑の香りがする。


こんな場所、初めてきた。今まで、真っ白な世界ばかりだったから…。


それにしても、本当にここはどこなんだろう…。そう思い歩くものやはり広がるのは先の見えない草原ばかり。


凹凸も水もない草原。でも、なんか…とても不思議な場所。草原だけで、たった一人なのに寂しさは感じない。

肌を突き刺す風が心地よくて、その風に身をゆだねようとした時だった。


『ねぇ』

『…?』


背後から聞こえた声。落ち着いたような、けれど明るさがある声に振り向くと、その人物に驚愕した。


『え…』

.
< 416 / 513 >

この作品をシェア

pagetop