二重人格神様~金と碧の王~
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『ここは…どこ?』
お父さんに目をふさがれたあと、魔法にでも掛けられたように私は眠りについた。
そして、眠りの中…わたしはとても広い草原に立っている。
少し強い風が草花を揺らし、緑の香りがする。
こんな場所、初めてきた。今まで、真っ白な世界ばかりだったから…。
それにしても、本当にここはどこなんだろう…。そう思い歩くものやはり広がるのは先の見えない草原ばかり。
凹凸も水もない草原。でも、なんか…とても不思議な場所。草原だけで、たった一人なのに寂しさは感じない。
肌を突き刺す風が心地よくて、その風に身をゆだねようとした時だった。
『ねぇ』
『…?』
背後から聞こえた声。落ち着いたような、けれど明るさがある声に振り向くと、その人物に驚愕した。
『え…』
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