二重人格神様~金と碧の王~
背後で腕を組みながら微笑む女性。その女性に見覚え…いや、その女性を私は知っていた。
現実にはあった事はないけれど、何度も写真で見たから。
『あなたは…お母さん…?』
そう、目の前で微笑むのは私のお母さんだ。私を生んですぐに亡くなってしまった母親。
それが、どうして…こんな場所に?
もしかして…私はあのまま死んだの?それじゃ…ここは、もしかして…
『あの…』
『もう…探したんだから…勝手にいなくならないでって、言ったじゃない』
『…え?』
頬を膨らまし、そのまま走り出すと私の横を横切る。
振り向けば、そこには少し気だるそうな顔をしたお父さんがいた。
『いなくなったのはお前の方だろ?』
『そんな事ないもの…いなくなるのはいつも貴方じゃない』
腕に腕を絡め、寄り添う二人。
二人には…わたしが見えてないの?いや、もしかしたら…これは…あの世とかじゃなくて、過去を見ているのかも。
『そうだっけ?』
『白を切らないで!』
『切ってなどない…うるさい女だな』
『………』
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