二重人格神様~金と碧の王~

『あの、私…目が覚めたらここにいて…その』

『目を閉じて、自身の居場所を探せ。覚醒したキミ自身が出口を見つけないと…この世界からは出ることは出来ない』

『…』


『思い出は優しい。その優しさに溺れてはいけない。そして、真実を嘘に縛られるな』



『え…それ、どういう』


『さらばだ。未来の子よ』


お父さんがそう言うと、草原だった風景が闇に飲み込まれたかのように真っ黒に染まる。


右も左の上も下も分からない。音も風もなにも感じない。


『なにこれ…いやっ』


身体に感じる寒さに身を思わず縮めると、少し温かい何かに肩を叩かれた。


『ちょっと、起きなさい』


『い、いやっ!!』

その手を思い切り振り払うと、今度目に飛び込んで来たのは、目を大きく見開き驚くおばさんだった。


『え…?』


『あ、ごめんね?驚かせちゃったかしら?でも、魘されていたから…』


お、おば、さん?な、なんで?


周囲を見渡せば、そこは見慣れた天井。そっと身体を起こせば、いつもこの家で眠る時の布団の上。


ど、どういう事?さきほどと違って、とてもリアルな感覚。

空気とかおばさんのオーラって言うかが…生き生きしている。それだけじゃない、私に触れて、私を見ている。

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