二重人格神様~金と碧の王~
『本当に…夢だったの?』
私は膝ごと、その場に崩れ落ちた。
龍神様…海鈴さんのことも、グレンさんの事…天界での事、全部…夢だったの?
そんなはずはない。
だって、心が記憶が…身体の全てが彼を覚えているから…
夢だった、そんな事…思えない…
『…嘘、だよ』
頭を抱え、その場に座り込む。脚を抱えるように座り込むと、また声が聞こえた。
『ねぇ…どうして、そんな事を言うの?』
『…事実を言ったまでだ』
この声は…お父さん?顔をあげれば、今度は病院らしき一室に私はいた。
目の前には、ベッドに横たわるお母さん。そして、その横にお父さんの姿だ。
まただ…今度はなんなの?
『事実って…そんなの…信じない』
『…何回も言わせるなよ。最初から、好きじゃなかったんだ。ただの、遊びだよ』
『…嘘…よ』
『身体が弱かったから、利用し易かった。それだけだ…』
これは…なに?過去…なの?
じゃあ、お父さんは…本当にお母さんを愛していなかったの?
『やめて…もう…こんなの、見たくないっ』
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