二重人格神様~金と碧の王~


これが悪い夢なんだ。お父さんが言った通り覚醒して、混乱して事実じゃないものを見ているだけだ。


『やめてっ…いやだっ』

『じゃあ、出会った時のことも…過ごした時間も、偽りだったの?』


『あぁ』


『どう、して…馬鹿っ』

『飽きていたんだよ…長い時に。そんな時に、いい暇つぶしを見つけた…お前がここまで俺にハマるなんて、思わ
なかったよ』


いやだ。いやだ。


『もう…嫌だってば!!!』


そう叫ぶと、また、暗闇に包まれた。


自分の姿さえも見えない空間で、そのまま私は耳を塞ぎつづけた。



***




「随分と、魘されていますね」


いのりが魘されている時、彼女の傍にはあの男がいた。


シャカと別れたあと、男は言葉通りいのりの傍で様子を伺っていた。


そして、苦しみ、悶え続けるいのりを横目に男は何か考えこんでいる。


「全く…あのお方は迎えに来るのだろうか」


そう、それは海鈴とグレンの事。

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