二重人格神様~金と碧の王~

「これは…?」

「この花にはシャカ様の力が宿っている。枯れないようにしていたが、いのり様の覚醒された力によって枯れてきている」


「普通の半神なら、こうはならなかっただろうが…シャカ様の子となると、そうはいかないようだ。あ、ほら…いのり様はあそこにおられる」

「え?」

男が指さす先には、いのりの姿があった。変わらなく苦しい顔のいのりにアレスは慌てて近寄る。

苦しそうに握る手に触れると、その手がアレスの手を掴む。


「…いのり様…」


「もう、ずっとこうだ。人間の時間で言えば5日も経過している。夢の中でとても魘されていて、見るにたえないんだ」


「命の危険などでは…」


「それはない。だが、神の力が統合出来るまで痛みは続く。それも何時統合出来るかもわからない」


「左様、ですか…」


少し暗い顔のままいのりを見つめる。その姿にアレスに男は思う。


(アレス…もしかして…)


「アレスは、かわいそうだな…」


「え?」


「いや、気にしなくていい。それより、あれからグレン様の様子は?」


少し言いづらそうに顔をふせ、静かに言う。

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