二重人格神様~金と碧の王~

『いやっ』


『お前は、望まれた子ではなかったんだ』


『…っ』


『かわいそうな子だ。あの時、ヤツを庇わなければ良かった。そうすれば、幸せだっただろうに』


『やめて…話さないでっ』


『いのり?お前はかわいそうな子だ。偽りの愛で満たされた半神よ』


『や…だ』


『ほら、見るといい。お前を見る母親を』

そう言われ脳内になにかが流れこんでくる。はっきりと見える映像。それは生まれたばかりの私を抱くき、病院の屋上に立つお母さんの姿。


『…あ』


その目には涙が浮かんでいた。同時に殺意のようなものが見え、ゾッとする。


『許せない…あの人…許せない…』


『やめて…』

『こんな子…っ』


『いやああああああ!』

『いらなかった』


これが…本当のこと、なの?私が知っている記憶は全部…嘘だったの?


もう、抵抗するのも少し疲れた。耳を覆っていた手を離すと、さきほど以上に聞きたくない声が聞こえてくる。

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